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設計・見積り実例

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雨漏り補修実例 その2

2022年掲載

雨漏りの原因も分からないまま雨漏り補修するも再発。原因追求し二次防水の適切な再施工へ

  • 劣化対策

物件概要

  • 所在地静岡県浜松市
    築年数築10年
    構造種別木造軸組在来工法
    リフォーム対象面積外壁面積:91.6m2 屋上面積:31.8m2
    合計:123.4m2
    工期調査:約1カ月 工事:約2カ月
    工事費総計5,678,200円(税込)
    概算単価46,000円/m2(税込)

リフォームに至った経緯

引き渡しより9年10カ月後に(有)第一浜名建装へ施主より雨漏り修理の問い合わせがありました。
建築事業者はすでに倒産しており、かつ、7年目の時点で他の事業者による雨漏り修理を行ったとのことですが、雨漏りが再発し、その際 の修理時にもトラブルが多かったため、施主は間違いなく雨漏りを直したいとの思いから、同社へ問い合わせをされたとのことでした。 7年目の修理の際は、親の知り合いの事業者による修理でしたが、雨漏りの原因もよく分からないまま、瑕疵保険を利用して修理を行っていました。
その際、瑕疵保険会社より散水等による浸入位置の確認を要望されましたが「浸入で被害が広がるのが怖い」という理由で散水調査も行わ れず、結果として修理箇所や工事内容が正しかったのか不明だったとのことです。
今回の問い合わせに対し、瑕疵担保期間内であるため、同社が今までの瑕疵保険適用の有無などを確認したところ、前述のようないきさつ だったことから、雨水浸入位置および今回の修理箇所が同一ならば瑕疵保険は適用されないと説明。しかし、そもそも散水等による確認もされていないことから、浸入位置と想定された箇所自体も曖昧であり、違う箇所からの浸入も考えられるため、瑕疵保険会社へ同社から事故受リフォームに至った経緯付を行うことを薦め、散水調査を行うことになりました。
今回の散水調査により、以前の修理箇所とは関係のない位置からの浸入、計4カ所の原因を確認し、瑕疵保険が適用される雨漏り事故であ ることを確認し、雨漏り修理を行うこととなりました。

   

雨漏りの原因

雨漏り箇所は、1・2階南西角部分と、2階北西角部分でした。この部分の屋根が陸屋根(塩ビシート防水)となっており、防水性能の有無を確認すべく貯水による調査を行ったところ浸入が確認され、次に部分的な散水により浸入箇所の絞り込みを行いました。この散水により排水溝角部分の塩ビシート重ね部のシート溶接が不十分であることで防水が一体化されず、これにより浸入したとの推測に至りました。また、外壁の配管貫通部付近への散水においても浸入が確認されました。
今回の検証中、室内での確認よりも先に基礎部分から試験水が流下し、この時に土台水切り部分の濡れはなく、土台側から流下しているこ とを確認したため、二次防水を突破したものが流下していると考えるのが妥当と判断しました。この基礎部分の流下確認の数分後には室内 でも試験水の浸入を確認しました。

   

リフォーム工事の概要

以上のことから、屋上防水に浸入箇所があるということは(防水シートが一体化されていない致命的な施工不良があること)降雨があれば必ず雨がかりがあることで、たえず浸入を許しているということとなり、これにより下地材を腐朽させている範囲が広いことも懸念されたため、屋上防水が絡む部位の外壁についても張替えを行いながら、下地材交換や補強、屋上防水の再施工を行いました。
さらに、今回の雨漏り修理範囲以外の部分について、足場を追加してシーリング打替えおよび塗装をすることで、二次防水側への雨水浸入 の抑制と保護、美観向上となるため、これを施主が希望し、この施工も行いました。
この建物においては、二次防水である透湿防リフォーム工事の概要水シートの施工が雑であることが雨水浸入の要因であるため、最も望ましい建物の保護方法は、全ての透湿防水シートを張り替えることとなります。しかし、瑕疵保険の対象となるのは雨水浸入部分とその周辺部の修理となり、それ以外の部分は保険対象とはならないため、この内容を施主に正確に伝えた上で、補償対象内の雨漏り補修と補償対象とはならない外壁材のシーリング打替えおよび保護塗装を行いました。

   

リフォーム工事の効果

施主は、ずっと悩まされ続けてきた雨漏りがなくなったことで、雨天を全く気にすることがなくなり、安心して生活できると喜ばれていたとのことです。

   

雨漏りカ所位置

  • 2階平面図

    2階平面図

  • 1階平面図

    1階平面図

 
  • 南側立面図 青点線=屋上防水

  • 立面図-4

    北側立面図 青点線=屋上防水

 
  • 2階主寝室南西入隅部現況

    2階主寝室南西入隅部現況

  • DK床入隅部

    DK床入隅部

  • 雨水浸入によるシミ
 

調査

  • 屋上防水面散水:低い水位では漏れは確認されない

  • 屋上防水面散水:この位置まで貯留した場合ならびにこの部分への散水により、水浸し状態になった

 
  • 2階南西入隅部付近

    2階南西入隅部付近

  • 2階南西入隅部付近

    2階南西入隅部付近:室内壁の含水率の上昇を確認

 
原因と対策
排水溝角部分の塩ビシート重ね部のシート溶接が不十分であることで防水が一体化されず、これにより浸入したと考えられる。
また、現状確認を行っても目視できる裂傷なども見当たらない。
塩ビシート防水はシート重ね部を加熱や溶液により塩ビ成分を溶かして一体化させることでメンブレン防水としての性能を担保するものだが、シート裂傷以外で防水シートが一体化されていないことは、施工不良を意味するものであり、シートの部分補修は表層の経年変化により難しいため、全面的な防水改修が必要となる
 
  • 室内壁の含水率の上昇を確認

    西南ドレン管貫通部付近:室内壁の含水率の上昇を確認

 
  • 外壁のシーリング施工

    外壁:シーリング施工

 
原因と対策
本来ならば外壁のシーリング劣化等が起き、外壁材の隙間から通気層内へ雨水が浸入したとしても、透湿防水シートや防水テープにより二次防水が一体化されてい れば、浸入を許すことはない。 しかし、散水により浸入を許している状況から、透湿防水シートに対して防水テープの圧着等が不十分な箇所があり、ここが浸入口となっている可能性が高いと判断。 透湿防水シートの施工にも瑕疵があるため、シートと防水テープの貼替えなどによる二次防水の適切な再施工が必要となる。
 

施工前

  • 湿潤した壁内
  • 湿潤した壁内
  • 湿潤した壁内
  • 湿潤した壁内
  • 湿潤した壁内
 

施工中

  • 施工中
  • 施工中
  • 施工中
  • 施工中
 

施工後

  • 施工後
  • 施工後
  • 施工後
 
 

科目内訳

No. 名称 金額(円) 概算費用(円/m²) 構成比(%)
1 雨漏り調査 242,000 1,961 4.7
2 外壁・防水等工事 3,525,650 28,571 68.0
3 外部塗装工事 1,420,672 11,513 27.4
合計 5,188,322 42,045 100
出精値引き -26,322  
改め計 5,162,000
消費税(10%) 516,200
総計 5,678,200

概算費用は、リフォーム面積123.4m2で計算

最終更新日:2023-11-13