「マンション修繕費指数」は、民間の集合住宅(マンション)1棟当たりの計画修繕工事における修繕費について、その変動を総合的に捉えることを目的とした指数です。調査年次から過去2年以内に施工されたマンションの大規模修繕工事において、マンション修繕事業者などの受注者が管理組合(注文者)へ提示する成約時見積書を集計・分析し、大規模修繕にかかる費用の総額(以下、修繕費総額)とその内訳である主要な工事別費用(以下、主要工事費※1)を指数化しています。また、合わせて主要工事費の構成比率も算出しています。
本指数により、修繕費総額や主要工事費の変動を時系列的に把握することが可能となり、構成比率を活用することで、修繕費の効率的なチェックも可能となります。一般的な民間分譲マンションの大規模修繕工事の取引における総合的な価値判断に資する資料として、本指数をお役立てください。
- ※1仮設工事、躯体・外装工事(下地補修工事(タイル工事含む)、外壁塗装工事、鉄部塗装工事)、防水工事(屋根防水、バルコニー防水、廊下・階段防水、シーリング防水)
- ◎「マンション修繕費指数」の概要は、ページ下部の【マンション修繕費指数の仕様】をご参照ください。
マンション修繕費指数の動向
2026年5月 調査
Trends in the Condominium Repair Cost Index
概況
2013年を100とするマンション修繕費指数は、最新の2026年調査で166.8ポイント(P)となり、調査開始以来の最高値を更新した。前年調査の161.1Pからは5.7P上昇し、一戸当たりの平均修繕費総額では156.0万円と、前年比約3.6%増加した。コロナ禍による資材高騰の影響が本格化した2023年から2025年の2年間は、マンション修繕費も年平均7.7%上昇したが、最新の調査では伸び率はやや鈍化した。この背景には、資材価格の上昇・高止まりが続くなか、修繕積立金という限られた予算の範囲で、これまで以上に工事の優先順位に応じた費目別の予算調整が行われる傾向が強まったと考えられる。最新調査では外壁塗装や防水などの主要工事費が上昇する一方、それ以外の「その他工事」の構成比率は前回調査の14.0%から9.5%へ低下している。主要工事を優先し、その他の工事の範囲や実施時期を調整することで、修繕費総額を当初予算の範囲内に収めようとする動きが各管理組合で生じたものと推測される。
しかし、足元では中東情勢をはじめとする地政学リスクなどを背景に、資材価格の上昇圧力が続いている。予算配分の見直しだけでは吸収しきれない資材費や工事費の上昇は、今後の修繕費に反映される可能性が高く、マンション修繕費指数は、当面上昇傾向が続くとみられる。管理組合は個別工事の削減や先送りといった予算調整にとどまらず、修繕積立金の水準や将来の工事内容を含めた長期修繕計画の見直し等が求められる状況と言えそう。
マンション修繕費指数 修繕費総額の推移
Condominium Repair Cost Index: Total Repair Cost Trends
マンション修繕費指数
主要修繕工事ごとの推移
Condominium Repair Cost Index: Trends by Major Repair Work
費目別動向
- 「仮設工事」は、前回比プラス18.5Pの上昇となった。個々のサンプルを確認すると、ガードマンの多数配置による安全対策費や、工事用・居住者車両のための外部の有償駐車場費用が計上される事例が多数みられた。安全対策強化や、工事現場周辺の駐車環境など、マンションごとの立地条件も費用を押し上げる要因となったと考えられる。
- 「躯体・外装工事」(タイル補修を含む下地補修工事、外壁塗装工事、鉄部塗装工事)は、前回比プラス8.1Pの上昇となった。塗装工事は下落したものの、タイル補修費を中心に下地補修工事の高騰が費目全体を押し上げる結果となった。
- 「防水工事」は、前回比プラス17.5Pの上昇となった。防水材料は石油由来の製品が多く原油相場の影響を受けたことに加え、修繕周期の延伸(長寿命化)を目的とした高耐久防水材を採用する動きが広がったことも影響したとみられる。
構成比率動向
修繕費総額を100.0とした場合の各工事費の構成比率
- 仮設工事:墜落・転落災害の防止措置の強化(法規制への対応)から、修繕費総額に占める割合は増加傾向にあったが、2019年以降は23~24%台の範囲で安定的に推移しており、最新の調査結果も24.8%となった。
- 躯体・外装工事:最新の調査結果は24.6%。工事費としては上昇しているものの、防水工事など他費目の上昇幅が相対的に大きいため、修繕費総額に占める割合は2013年の基準年から緩やかな低下傾向が続いている。
- 防水工事:最新の調査結果は29.4%となった。屋根、バルコニー、開放廊下など、どの部位を施工対象として選定するかによっても工事費用は影響を受けるが、直近は修繕周期延伸を見据えた高耐久材料の採用が進んでいることも工事費用を押し上げる要因となっており、修繕費総額に占める割合も高まる傾向にある。
- その他工事※2:最新の調査結果では9.5%と、前回14.0%から減少した。主要工事費の上昇を受け、限られた修繕積立金を優先度が高い主要工事に振り向けるため、その他工事が予算調整の対象となったことが背景にあると推測される。
※2 「その他」工事費率は、各工事費率に諸経費率を加算したものと全体工事費(100.0%)との差額分を表しています。
内容としては、外構(植栽工事を含む)、宅配ボックスの設置、共用部照明器具などの電気工事、耐震改修、給排水配管更新、玄関ドア・サッシ改修、機械式駐車場更新・撤去、工事完了後のクリーニング費用、および各費目に分類されない小修繕工事などが挙げられます。














