GUIDE
基礎と土台の間にねこ※を挟んで隙間を設け、床下換気を行う「ねこ土台」は家屋の建築に広く用いられている。
ただし、現代のねこ土台の主流はプラスチック製で、旧来の木材や石材のねこのような通気性はなく、カビの心配もある。
「ねこ免震リフォーム」とは、SMRCが開発した「エンプラUFO-E」または「ねこ免震パッキン」(いずれも特許製品)を用いて、免震機能と耐久性、通気性を実現した工法。
専用のクサビによりリフォームに対応し、基礎から土台への揺れの伝わりを小さくすることで免震効果を発揮する。
大がかりな装置による土台のかさ上げは不要で、数十年前に普及していた工法や、最新の基礎パッキン工法まで対応可能。
新耐震基準の想定を超える大型地震に対しても、高い効果が期待されている。
※ねこ…基礎と土台の間に挟む部材の総称
■施工手順(アンカーボルトに貫通させないため、施工・メンテナンスが容易)
阪神・淡路大震災以降、主なハウスメーカー30社以上が住宅免震構造を採用したが、いずれもビル型免震構造を基本とするもので、コスト面での課題があった。
この課題を解消すべく、東洋大学工業技術研究所と共同で開発されたのが摩擦アイソレーター「UFO-E」で、数度の改良を経て現在はエンジニアリングプラスチック製の「エンプラUFO-E」が展開されている。
圧縮強度は檜土台めり込み強度の30倍以上、コンクリートの5倍以上、PP材の土台パッキンの2倍以上となっており、熊本地震でも本製品を採用した住宅の被害はゼロと効果の高さを立証している。
「エンプラUFO-E」とともに、サステナビリティにも配慮して開発されたのが、耐震リフォーム用の簡易型ねこ土台型免震装置「ねこ免震パッキン」である。
素材には、吸水性と強度に優れたポリアミド系エンジニアリングプラスチック「Leona™14G33」を採用。
エンジニアリングプラスチック同士の摩擦で成り立つ「エンプラUFO-E」に対して、本製品はエンジニアリングプラスチックと木材が摩擦する仕組みで低価格を実現しており、戸建て住宅の耐震リフォーム用資材としての普及が期待される。
2024年1月に発生した能登半島地震の後、SMRCには「漆喰壁の昔の母屋が残ったが、耐震壁増築部分が損壊した」「石場建ての母屋は無事だったが、増築部分が崩壊した」といった被災者の声が寄せられた。
日本古来の木造建物の場合、仕口の「摩擦」と木材の「バネ」、さらに土壁が割れることで地震のエネルギーを吸収する。
さらに瓦の屋根は落ちて軽くなり、石の上に乗っただけの躯体(石場建て)は大きな地震で少しずれて力を逃がし、建物の倒壊を回避できたと考えられる。
「ねこ免震」はこうした伝統的な技術と同様の考え方に基づき、小さな揺れで力を逃がし、たくさんの摩擦とバネの力で大きな免震効果を得るものである。
今後起こりえる南海トラフ地震や首都圏直下地震などでは、耐震基準を満たした建物でも被害が出る可能性があり、連続地震も想定されている中、壁耐震だけでなく免震住宅の検討も必要となる。
SMRCが進める「ねこ免震リフォーム」は、土台パッキンを免震化するローコスト免震で、熊本地震でも効果が実証されている。2000年以前竣工のホールダウン金物がない建物の免震化が可能で、
ジャッキアップなどが不要の簡単施工を実現。
また、危険度の高い順に経年修繕と同時施工することで、数十万円程度の追加費用で施工でき、コストを抑制する。
さらに、資産価値が向上することで、中古住宅市場の活性化に寄与することが見込まれる。
■熊本地震で確認された「ねこ免震」の効果
住宅免震 | 制振ダンパー | プラ製長尺土台パッキン | エンプラUFO-E | ねこ免震パッキン | |
設計価格 | 300万~500万円 | 50万~100万円 | 7万~20万円 | 20万~30万円 | 6万~10万円 |
1棟当たり の設置個数 |
4個 | 10個以上 (オイルダンパー) |
50個 | 120個 | 50個 |
免震効果 | 200gal | ― | ― | 300gal | 400gal |
※価格はSMRC調べ
1995年の阪神・淡路大震災での被害を受けて、2000年の建築基準法の改正では、壁量計算やホールダウン金物の設置などが義務付けられた。
しかし、2016年の熊本地震では2度の震度7の揺れに見舞われ、比較的新しい住宅でも大きな被害があったことが問題視された。
壁倍率による耐震化が一般化し、ボードや金物による補強はされてはいるものの、耐震基準をはるかに超える地震に対しては、逆に弾塑性限界を超え金物強度に追い付かず木材が先に損壊する「せん断集中型の破壊」が建物倒壊を早めてしまう。
制振ダンパー等の異種構造の混入が構造バランスを崩す可能性も否定できず、構造計算を不要とする低層住宅の柱の耐力不足、腐朽劣化による強度不足等など種々の要因が破壊をもたらしたと考えらえる。
新築同様、壁補強中心の改修では、高価な割には許容応力度を大幅に超える地震には限界が予想されるため、地震力を減衰させる免震系を推奨する。
ねこ免震リフォームは、特許の簡単クサビで大掛かりなジャッキアップ工事は不要。
通常の修繕と同時施工することでコストが下がり、損傷が懸念される震度6強以上の地震を受けた建物から検討することで倒壊圧死のリスクを減らすことができる。
■耐震比較表(震度6強を超えると耐震性が損なわれる破損がありうる)
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上記の内容は、登録企業・団体からの申請に基づき掲載しております。
最終更新日:2024-10-29